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月刊ニューメディア 2020年7月号・8月号掲載
特集
ケーブル技術ショー2020(前編・後編)
「インフラ投資戦略」編・「Withコロナ戦略」編

月刊ニューメディア 2020年7月号掲載
特集 ケーブル技術ショー2020 「インフラ投資戦略」編

となみ衛星通信テレビ(TST)

ローカル5Gなど複数方式で
農林水産業・工業用IoT開始

 となみ衛星通信テレビ(本社:富山県南砺市、以下TST)はローカル5Gなどの無線を使用したIoTサービスを開始し、B2B事業を強化する。サービスの対象は、農業と工業を皮切りに、林業、漁業などに分野を拡大していく計画だ。通信キャリアや大手メーカーも5GによるIoTサービスを提供してくるが、ケーブルテレビのFTTH化ですでに整備した光回線や局舎を活用したMEC(Mobile Edge Computing)を強みにしていく。(取材・文:渡辺 元・本誌編集長)


畑の鳥獣被害対策サービス
工場用VRなどのIoTを提供

 TSTが計画している農業用IoTについては、ブドウ畑の状況をIoTセンサーで可視化する仕組みが完成し、今年度中にサービスを開始する予定だ。これはブドウ畑の鳥獣被害を軽減するサービス。畑を4Kカメラで撮影し、AIによる画像解析で畑に現れた鳥獣の種類を特定する。サル、イノシシ、イタチ、ハクビシンなどの種類を自動識別できる。

 エアガンを搭載したドローンが自動発信して鳥獣を追い払うシステムも開発中だ。鳥獣の種類によって対応方法は異なる。例えば、サルはタカを恐れるため、ドローンが搭載したスピーカーからタカの声を聞かせて追い払う。ただしドローンを自動制御して鳥獣を追い払うシステムは技術的には可能だが、ドローンは目視できる範囲外の飛行が規制されているため、このサービスは特区に指定されなければ実施できない。しかし、同社は今後の特区指定や規制緩和を見据えて、サービスを提供できる準備を整える。自動制御のロボットが草刈をするサービスも計画している。これらの農業用IoTサービスには、ローカル5GとBWAを組み合わせて使用する。広い畑の中でローカル5Gの電波が届かないときは、BWAにハンドオーバーできるようにする。

 工場用IoTはまず鉄鋼所に導入する計画だ。従業員がかけたゴーグルの画面に、設計図を基にした完成品の画像をVR・MRで表示する。となみ衛星通信テレビ株式会社 専務取締役 宅見公志氏は、「当初は熟練工が他の従業員に技術を教えるのに利用します。その後は生産工程に組み入れ、従来は紙やタブレットを使っていた設計図の確認をVR・MRの表示に変えて、生産性の向上に活用する可能性があります。通信キャリアや大手メーカーが提供する大規模工場用IoTもありますが、弊社のサービスは小規模な工場をスマート化して生産性や安全性の向上を図ります。大手企業が提供する大規模工場用IoTは、生産管理システムや機械の自動化などを連携させたものですが、弊社のサービスはそこまでは必要としていない小規模工場に、月額10万円程度の比較的低い料金でインターネット回線やクラウド、IoTセンサーを提供します」と説明する。

 林業用IoTは作業の安全、生産性、木材の品質の向上に向けたサービスだ。木の伐採作業では、安全のため作業者同士の近接を禁じる業界ガイドラインがあるが、現場ではそれが守られず危険な作業が行われることもある。そこでIoTセンサーと無線で、危険な作業を予防するサービスを計画。木の生育状況をIoTセンサーで管理するサービスも予定している。 漁業用IoTでは、海中の状況を見たいというニーズに応え、水中4Kカメラで撮影した4K映像を海上からローカル5Gで伝送する。赤潮や海水の成分を検知するIoTセンサーのデータを陸上に伝送するサービスも考えている。海上から数十km離れた陸上にセンサーの軽いデータを長距離伝送するのには、ローカル5GではなくLPWAを使用する見込みだ。

 

既存光回線をバックホールに活用
MECでも大手に対する優位性

 TSTのIoTサービスで使用される無線技術は、ローカル5G、BWA、LPWAなどだ。ローカル5Gは高速だが直進性が高く、遮蔽物を回り込みにくいという特性がある。利用者によっては速度はそれほど必要ない場合もあるなど、現場の環境によって適した無線方式は異なる。そのため同社のIoTサービスは、それぞれの現場に応じて最適な無線方式を組み合わせて提供できるようにすることを重視している。現在、各用途に適した仕組みを検討中だ。同社はエリア内のニーズのある地域で、ローカル5GやBWAなどの無線インフラの整備を進める。ローカル5G基地局は工場や畑などに4カ所新設し、BWA基地局は2カ所増設する予定だ。
 ローカル5GやBWAのバックホールには、同社の既存回線を活用する。大手メーカーもローカル5Gを使ったIoTサービスを農業や工場に提供するが、この場合はNTTやKDDIなどのダークファイバーを借りるケースが多くなると見られ、通信料がサービス料金に影響しそうだ。それに対してTSTのIoTサービスは、既存のケーブルテレビの光回線を活用するため、ネットワークのコストを抑えられるという優位性がある。

 大手メーカーのIoTサービスは、MECの設置場所や回線のセキュリティも課題となる。それに対してTSTは、「局舎やノードにMECのサーバーを設置し、インターネットを一切介さずデータ処理ができます。農業用IoTの場合、鳥獣対策の4K映像を東京のクラウドサーバーまで伝送すると回線コストが大きく遅延も発生しますが、弊社は地域内の局舎のサーバーでデータ処理ができるため、回線コストがかからず遅延も発生しません。ケーブルテレビが提供するIoTサービスは、競合事業者に対する優位性を期待できます。大手メーカーのIoTサービスにケーブルテレビの回線やMECの設置場所を提供するビジネスも可能だと考えます」(宅見氏)。

 近隣のケーブルテレビ事業者がIoTサービスで協力することも可能だ。例えば、北陸に1カ所MECサーバーを設置し、各ケーブルテレビ事業者が共同利用することで、さらにコストを下げることができる。グレープワンのケーブルテレビ業界コアは東京に設置され、各ケーブルテレビ事業者のローカル5Gの制御信号は東京に伝送して認証される。制御信号はデータが小さいため東京まで伝送しても問題ないが、IoTで撮影した4K映像の処理も東京のサーバーで行うと、回線コストが大きくなる。そこでTSTでは、ケーブルテレビ事業者が連携して一つの共同MECなどを使うことを複数のケーブルテレビ事業者と検討している。

 


TSTが計画しているブドウ畑の農業用IoTシステム。AIを活用したローバーで農薬散布を行う

 



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