TOPページ > 2020年11月号の記事 IAUDアンケート調査結果

特集 字幕付きCM拡大へ「ロードマップ」発表

IAUDアンケート調査結果

生活者は字幕付きCMに
どういう期待があるのか

文:土屋亮介 国際ユニヴァーサルデザイン協議会 CM字幕プロジェクト

国際ユニヴァーサルデザイン協議会(以下、IAUD)は、2003年11月に設立された国内最大のUD推進団体である。現在各テーマで4プロジェクトが活動しており、その一つが今回CM字幕のアンケートを行ったCM字幕プロジェクトである。アンケートは2019年に実施、予想を上回る1,247名から回答を得た(聴覚障害者652名、難聴者82名、聴者513名)。 その結果を紹介する。


■ アンケートの狙い

 今回アンケートを行った理由は大きく以下の3点。

 アンケート方法はインターネット調査で行い、告知はIAUDが管理するFacebook「CM
字幕応援団」などSNSを通じ、聴覚障害の有無に関係なくすべての人を対象とした。イン
ターネット限定で行うことで、パソコンやスマホを使えない層を排除することになるとの危惧もあったが、ネット調査の即時性や、かなりの高齢者までがスマホを利用していることを考え、ネット限定に踏み切った。
 以下、アンケートから見えてきた生活者の実態を紹介する。

■ 聴者のCM字幕認知度は36%

 CM字幕の認知度は、聴覚障害者・難聴者の約73%に対して、聴者は約36%となった。現在、CM字幕が放送される際には「字幕」というテロップが画面に表示されているが、そもそも「字幕放送」を知らない聴者も多いのだろう。また、聴覚障害者の73%という数字も低いと感じる。聴覚障害者の多くは字幕放送でテレビを視聴しているが、「CMには字幕がないのが当たり前」という現状があるため、当事者への広報活動が今後不可欠であると痛感した。

質問:あなたは一部の CM に字幕が付いていることを知っていましたか?

質問:あなたは一部の CM に字幕が付いていることを知っていましたか?

■ スマホがテレビを逆転

 商品情報の入手先については、「テレビ」と「スマホ」が逆転する結果となった。これは想定どおりだった。

 聴覚障害者と難聴者において「店頭」は5位であり、店頭での意思疎通が難しく、コミュニケーションを避ける傾向があるためだろう。また、事前にスマホやテレビ、雑誌などのメディアを通して情報収集を行い、店頭では最低限のやりとりだけで済ませたいという当事者も少なくない。だからこそ、スマホやテレビに表示されるコンテンツのすべてに字幕を付与し、あまねく情報を伝える必要がある。

 

質問:あなたは普段どこから商品情報などを得ていますか?

図:システム概要

■ CM字幕は企業のイメージアップに貢献

 CMに字幕を付けることの効果については、企業が一番関心を持つ点であろう。字幕がCMの内容や理解に大きく影響を及ぼしていることは当然として、企業のイメージアップに
貢献することがわかった。

 「差別しない企業だと思う」、「同じような商品なら字幕付きの方を選ぶ」という回答が伸びを示している点に注目したい。特に「差別しない……」については、聴者の方が高く出ていた。ここから字幕を付ける効果として、商品情報を正しく伝えるだけでなく、企業イメージアップに貢献することが読み取れる。

■ 字幕が欲しいCMの上位は食品、家電

 CMに字幕が欲しいと思う業種については、アンケート実施が2019年ということでオリパラの1位は当然として、生活に必要な情報である「食品」や「家電」が上位に挙がっている。生活に密着した情報こそ必要であり、普段より聴者(家族)との情報格差を感じているため、字幕付与を通した対等な情報手段を得たいという切実な気持ちが見て取れる。

 

質問:この字幕付きCMを見た気持ちや印象は?
(実際の字幕付きCMを見てもらって回答)

図:システム概要

■ 対等の情報保障の重要性

 自由記述では、聴覚障害者の社会参加(冠婚葬祭・病院・医療関係といった自身の
人生で最も必要不可欠なものや、選挙などを含めた政治関連の広告放送など)においても字幕などの文字情報が必要と答えており、聴者と対等の情報保障を望んでいることを強く感じた。

 「字幕は付いて当然である」(聴覚障害者)、「どんなCMでも内容を知るためには字幕は付ける必要がある」(聴覚障害者)、「聞こえる人と聞こえない人に情報格差があってはいけない」(聴者)など字幕を望む声は、聴覚障害者だけでなく聴者からも多数挙がっていた。

 今回のアンケート結果から最も重要なことは、聞こえる人も聞こえない人も対等に情報を得られる環境整備を早急に行う必要性である。

 海外では、番組だけでなくCMにも字幕が付与されている国が多いとのこと。 一方、日本では、番組にはほぼ100%字幕が付くようになったが、CMの字幕付与率は0.3%に留まる。 来年に東京オリンピック・パラリンピックを控え、さまざまなメディアにおいて多言語対応はもちろんのこと、聴覚障害者への情報格差もなくしていくべき段階に来ている。特にCMは、企業(または広告主)の責任として字幕を付与し、あらゆる人に情報を伝えていく必要性がある。

 今後もアンケートを継続して行い、その結果をもとに意見交換会などを催し、字幕の必要性を社会に訴求していきたいと考えている。

 

質問:CM や動画に字幕が必要だと思うジャンルを選んでください。

図:システム概要


@月刊ニューメディア2020年11月号掲載



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