『月刊ニューメディア』2022年7月号(2022年6月1日発売)
【巻頭 オピニオン・インタビュー⑯】
P10 「Interop」今月開幕
「Media over IP Pavilion」を新設
通信側視点で放送・映像向けIP活用を提案へ
シスコシステムズ「放送局向けIP体験ショールーム」
P12 さらに機能が増えた「5G Media Showcase」
P13 IP化への不安や疑問を実地で解消
濱田義之・シスコシステムズ 専務執行役員 情報通信産業事業統括
P14 LiveUの最先端システムでライブ映像の未来を切り開く
文:吉田大助・LiveU Japan セールスディレクター
What happens in Vegas !
NAB Show 2022 速報 
P19 NAB Show 2022 成果を聞く
Ann Marie Cumming・NAB Senior Vice President,Communications
P20 Mr.Tedのアメリカ最新メディア速報〔第145回〕
NABの変化と新たなトレンド
P24 報道×VR技術『クロ現』新演出にワクワク
P26 英DCMS(デジタル・文化・メディア・スポーツ省) 放送政策白書
『Up Next』(和訳掲載:上編)
P36 Mizuno’s EYE
「骨抜き」になったネット利用者保護
遠因に総務省接待事件
レポート:水野泰志・メディア激動研究所 代表
【特集】さらに点火! 衛星放送(BS・CS)
P38 安東高徳・総務省 衛星・地域放送課 課長に聞く
「開局した新3局 衛星放送全体の新たな起爆に」
P40 音 好宏・上智大学 新聞学科 教授に聞く
「衛星放送アピール 絶好のチャンスだ」
上智大学・音教授と新3局トップのビジョントーク
P42 BS松竹東急「銀座の街のように奥深く楽しめるチャンネルを目指す」
橋本 元・BS松竹東急 代表取締役社長
P44 BSよしもと「豊富なタレント力をベースに地方創生を目指す」
稲垣 豊・吉本興業ホールディングス 取締役副社長
P46 BSJapanext「テレビ通販の雄が展開する放送サービスの新たな形」
田道祐樹・ジャパネットブロードキャスティング 代表取締役社長
P50 Netflix、会員数「減少」の背景を分析
取材・構成:西田宗千佳・フリージャーナリスト
P53 【連載】趙章恩のKoreaメディアWatch〔第53回〕
Kコンテンツの飛躍を支えるバーチャルプロダクション(その3)
発展するK-VFX時代を生んだ背景は何か
P54 ビデオリサーチ創業60年 新グループ体制、新組織、新ロゴへ
林 朋夫・常務執行役員 コーポレート・ITディビジョンマネージャー
5 G通信技術展
P56 「ローカル5G / IoT活用展」開催へ
通信業界・CATV業界必見の大規模展示とセミナー
P57 京セラ「ローカル5G / IoT活用展」で5G対応デバイスなどをデモ展示
P58 【連載】石川 温の5 G ×DXレースを追う〔第26回〕
6G時代に向けた宇宙での戦い始まる
P59 中林美恵子・早稲田大学教授に聞く
「どうなる? 米中間選挙」(前編)
P60 宇宙ニューメディアの新潮流❷
新型静止衛星「SDS」登場
文:神谷直亮・衛星システム総研 代表/日本衛星ビジネス協会 理事
■広告
2-3 日本放送協会
2-3 株式会社BS日本
2-3 株式会社BS朝日
2-3 株式会社BS-TBS
2-3 株式会社ビーエスフジ
2-3 株式会社WOWOW
2-3 株式会社スター・チャンネル
2-3 株式会社釣りビジョン
2-3 BS松竹東急株式会社
2-3 株式会社ジャパネットブロードキャスティング
6 株式会社ナノオプト・メディア
17 株式会社ビデオ・テック
63 株式会社サーティファイ
64 RX Japan株式会社
■連載執筆者紹介
テッド若山:米国放送業界アナリスト/NSIリサーチ 代表
趙章恩:ITジャーナリスト/KDDI総合研究所 特別研究員
石川 温:5Gジャーナリスト
本誌編集部声明
ウクライナでの戦争に対する本誌の決意
渡辺 元『月刊ニューメディア』編集長
カントは国際連盟の創設にも影響を与えた著書『永遠平和のために』(1795 年)で、国家間の永遠平和のための6つの条項を示している。その最後を結ぶのが次の第六条項だ。
「いかなる国家も、他国との戦争において、将来の平和時における相互間の信頼を不可能にしてしまうような行為をしてはならない。たとえば、暗殺者や毒殺者を雇ったり、降伏条約を破ったり、敵国内での裏切りをそそのかしたりすることが、これに当たる」(※)
現在、ロシアが侵略戦争で行っているのは、この平和に向けた条項とはまさに逆の行為だ。それは、敵国民に戦争からの離反、自国民に戦争への支持をフェイクニュースや報道統制などによってそそのかす行為であり、その手段にSNS や放送などのメディアが利用されている。
そのような中、ロシアの政府系テレビのニュース番組に乱入し、「プロパガンダを信じるな」と反戦メッセージを掲げた同局編集者マリーナ・オフシャンニコワさんの勇気ある行動は、専制国家をも揺るがす可能性のある情報発信の力を教えてくれた。
本誌はロシアによる侵略に抗議する。そのうえで、メディア専門誌である本誌だからできる情報発信を実行していきたい。それは、戦争の真実を取材・調査して発信し、侵略の停止、人々の平和な生活と希望が取り戻されることを目指して取り組むメディアの活動や新しい試みを伝えることだ。また、フェイクニュースやプロパガンダ、バイアスのかかった情報発信、難民への差別、侵略国の国民への憎悪、そして時間とともに戦争の悲劇や戦災者への関心を失っていくこと――、これらにメディアや我々国民が加担していないかをつぶさに見つめ、問題があればどのように改善していけばいいのかを考え、議論し、提案することも、本誌が務めるべき使命だ。
カントは前述の条項が果たされなかったときの帰結について、次のように述べている。
「それとともにあらゆる正義も滅亡するから、永遠平和は人類の巨大な墓石の上にのみ築かれることになろう」
この戦争においてメディアで日々発信される言葉、映像、音声が、「人類の巨大な墓石」の碑文として刻まれるのではなく、「国家間の永遠平和」に向けたたゆまぬ努力の証として記録されることを目指し、本誌は使命を果たしていくことをここに表明する。(2022 年3月16日)
※イマヌエル・カント著/宇都宮芳明訳『永遠平和のために』岩波書店、1985 年